医学生による地域の健康相談「ひよっこドクターのほけんしつ」を提案
新潟大学医学部医学科5年中島 寛音 さん新潟県出身・新潟県地域枠
医師になろうと思ったのはなぜですか。
中学の総合学習で職業を調べたとき、医師という職業に目が留まったのが最初です。ちょうどその頃「ドクターG」というテレビ番組も見ていて、医師が患者の訴えから病気を見つけていくのが推理のようでおもしろく、「医師」に興味を持つようになりました。ここがきっかけなので、実習で一通り診療科を回った中では、いろいろな患者さんを診る救急救命が特に印象に残っています。次々と搬送される患者さんの状態を把握し、様々な診療科と協力しながら治療してICUまで担当するところにやりがいを感じました。
新潟県地域枠を受験しようと思ったのはなぜですか。
新潟大学地域枠の場合は、月15万円の修学資金が6年間貸与され、卒業後の9年間、指定病院で働くと返還が免除されます。この制度があることは高校の担任の先生に聞きました。新潟大学が第一志望でしたし、出身が南魚沼市なので地域での暮らしも大丈夫。デメリットはさほど感じませんでした。それに、9年のうち4年間は中核病院や大学病院での研修なので、実際に指定された病院で働くのは5年。条件は新潟市以外だから、長岡市や上越市など大きな街の病院も含まれます。新潟県内で働くつもりなら地域枠は選択肢の一つになると思います。
地域枠ならではの活動はありますか。
地域枠の学生と自治医科大学の学生の合同の夏季実習があります。1泊2日や日帰りで県内各地に行き、地域医療を体験するものです。今年は湯沢町の保健医療センターで実習し、ドクターとも交流しました。地域枠は新潟県出身以外の人も受験でき、首都圏の私立大学にも設置されているので、新潟にゆかりの無い人でもこの機会に新潟を実感することができますし、大学の枠を超えたつながりも生まれるので心強いです。あと、地域枠では、留年したら修学資金は一旦ストップするので、こつこつ勉強するようにはしています。
医師不足対策に行動を起こしたそうですね。
きっかけは、3年次に「NRI学生小論文コンテスト」で大賞をいただいたことです。医師が不足している地域で、医学生が住民の健康についての悩みを聞いたり、アドバイスをしたりする場を提案したんです。治療はできなくても、私たちの医学の知識や地域医療への思いは課題の解決に役立つのではないか、と書きました。小論文では医学生のことを「ひよっこドクター」というわかりやすい呼び方にしました。地域の方にも親しみを持ってもらえるように。
具体的にどのような活動を?
小論文の提出後、大学の地域医療担当の先生方に話を持っていってサポートをお願いしました。地域の病院や商業施設の一角を借りたり、健康フェアに出展したりして今までに3回、「ひよっこドクターのほけんしつ」の出張イベントを開催。趣旨に賛同してくれた10名以上の学生と一緒に企画、実行をしています。地域の方からは「話したら気が楽になった」「知りたいことが聞けた」などと言っていただけたので、これからもこの活動を後輩に引き継ぎ、続けていきたいです。
医師を目指す方へメッセージをいただけますか。
受験勉強はつらいことも多いですが、「今しかできないこと」の一つと思って全力で向き合いましょう。医学部入試では理系の科目が重視されますが、国語・英語など、読む・書く・伝えることに必要な文系領域も医師には求められます。だから、どの科目の勉強も頑張ってほしいし、また勉強以外の行事やスポーツ、趣味なども広く経験してほしいです。医学部でも授業や課外活動で得たさまざまな学びが、病院実習に出たときに「あれはこういうことだったのか」「これとこれはこう繋がるのか」と納得でき、現場で起きていることの理解が一気に進むことがしばしばあります。日々の学びを楽しんでください!応援しています。
(所属等は執筆時現在です。)