先輩医師インタビュー 分野 腎膠原病内科
2020年02月10日

臨床×研究で内科医として成長していきたい

佐渡総合病院飯田倫理 先生新潟県出身・平成24年 新潟大学医学部卒業

医師を目指したのはなぜですか。

子どもの頃は身体が弱くて、病気を治してくれる先生に憧れたことが医師志望の原点かもしれません。大学進学後は、出身地の柏崎もそうですが医師不足といわれる新潟県で地域医療に携わりたいと思い、幅広く関わることのできる内科を目指しました。

腎臓を専門にされたのですか。

腎臓については、4年生の時に基礎研究で配属された腎臓分野で興味を抱いたことがきっかけです。その後、初期研修時に、急性期の症状を透析や輸液調整で回復させられることを知り、さらに、熱心な指導医に出会って関心は大きくなっていきました。患者さん一人一人の症状についてじっくり考え、周囲と議論し、全力で治療に向かっていく先生の姿に感銘を受け、その先生の専門だった腎臓分野に惹きつけられたのも大きかったですね。
新潟県、山形県の病院で勤務後、大学院に進み、生体機能分子を腎臓病の診断や予防、治療に役立てていく研究に取り組みました。糖尿病など生活習慣病によって慢性腎臓病にかかり、さらに腎不全へ病状を進行させてしまう患者さんが増えている中、どういう人が腎不全に陥りやすいかに特に注目して、予防や進行を遅らせることを追究しています。

現在のお仕事について教えてください。

今は、佐渡総合病院で、腎臓外来を週2回、一般内科外来を週1回担当し、腎臓疾患・膠原病疾患だけでなく、高血圧や糖尿病などの内科疾患を幅広く受け持っています。また、血液透析・腹膜透析を受けている患者さんの診療に関わり、2名の医師で一日当たり約80名の透析を行っています。内科の中では珍しく、維持透析を行うために必要な手術を月に3,4件ほど行っています。
佐渡は県内でも高齢化が進んでいる地域で、年齢と共にたくさんの病気を持っている患者さんが多く、どのような治療をどのように行っていくかの選択が重要になってきます。患者さんにとって一番いい治療ができるよう、患者さん本人だけでなく、家族、医療スタッフ、ケアマネージャーや介護スタッフ、ソーシャルワーカーなど多職種の人が情報を共有して話し合う体制を作り上げています。
透析についても同様で、腎代替療法の見合わせなどに対して、社会的な関心が高まってきていますが、当院透析室でも医療スタッフを巻きこんで、患者さんや家族と繰り返し相談しながら、最善の治療を選択できるよう情報提供を行っています。

これからの目標についてお話しいただけますか。

専門の腎臓疾患だけに関わるのではなく、基本領域として内科全般を診て、サブスペシャルティとして腎臓を診ていきたいと思っています。糖尿病由来の慢性腎臓病が増えていることから、今は、糖尿病領域や栄養領域にも興味があり勉強中です。臨床と研究の二本立てで、より多くの人の診療に関わっていくことが現在の目標です。

医師を目指す人へメッセージをお願いします。

新潟県には、新潟と東京を結ぶ上越新幹線、北陸新幹線があり、高速道路も県内全域に走っているので、交通が便利で、東京に行きやすいという地理的な利点があります。一方、自然が豊かでのどかであり、暮らしている人達も気持ちが温か。都会と田舎のいいとこどりではないかと思っています。
新潟県では医学部は新潟大学1校ですから、他県大学出身の医師も多く、横の風通しがいいのも働きやすさにつながっているように思います。
医学生のときに興味を持ったことがあれば、その興味の芽を大切にして、勉強や実習に取り組んでください。もし、その後に志望が変わったとしても、その経験は決して無駄にはなりません。視野が広がり、新たな興味につながることもあると思います。アンテナを張って進んでください。

(所属等は執筆時現在です。)